12月は、一年の締めくくりとして手紙やメールを送る機会が増える時期です。
特に「拝啓」を使った挨拶文は、形式を整えながらも気持ちをしっかり伝えられるため、友人や親戚、恩師へのお便りにぴったりです。
この記事では、「拝啓」と「敬具」の基本的な使い方から、12月にふさわしい時候の挨拶、さらに相手別にそのまま使える具体的な例文をまとめました。
短いフレーズ集からフルバージョンの文例まで揃えているので、形式を整えたいときにも、温かみを添えたいときにも役立ちます。
「形式」と「あなたらしさ」を両立させた手紙で、大切な人に感謝や思いを届けてみませんか。
12月に「拝啓」を使うときの基本マナー
12月に手紙を書くとき、「拝啓」をどのように使えばよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
この章では、まず「拝啓」と「敬具」の基本ルールを確認し、その上で個人向けの手紙ならではのポイントをご紹介します。
「拝啓」と「敬具」の正しい組み合わせ
「拝啓(はいけい)」は、もっとも一般的な頭語であり、改まった手紙の書き出しに使われます。
この「拝啓」を使った場合、手紙の末尾には必ず「敬具(けいぐ)」を添えるのが決まりです。
拝啓と敬具はセットで使うのが正しいマナーなので、このペアを崩さないようにしましょう。
頭語 | 結語 | 用途 |
---|---|---|
拝啓 | 敬具 | 一般的な個人向け・ビジネス向けの手紙 |
前略 | 草々 | 時候の挨拶を省略するカジュアルな手紙 |
謹啓 | 謹言 | かしこまった手紙や目上の方への手紙 |
このように、頭語と結語には正しい対応関係があります。
間違った組み合わせをすると、形式に疎い印象を与えてしまうので注意が必要です。
個人向けで気をつけたいポイント
12月は年末らしい行事や雰囲気が強い月です。
そのため「拝啓」のあとには、季節を感じさせるフレーズを入れると文章に深みが出ます。
たとえば「街の灯りがにぎやかになってきました」「今年も残りわずかとなりました」などです。
ただし個人宛の手紙では、形式を守りすぎると堅苦しく感じられることがあります。
そんなときは、形式は踏まえつつも「あなたらしい一言」を加えると良いでしょう。
大切なのは、形式と気持ちのバランスを取ることです。
12月の時候の挨拶フレーズ集
12月の手紙には、その季節ならではの雰囲気を盛り込むことが大切です。
ここでは、12月全般に使える表現から、上旬・中旬・下旬に分けたフレーズ、さらにカジュアルとフォーマルの違いをご紹介します。
12月全般に使える定番表現
まずは、どの時期に使っても違和感のない12月全般のフレーズです。
形式的な場面でも、親しい人への手紙でも活用しやすい表現が揃っています。
表現 | 使いどころ |
---|---|
師走の候、いかがお過ごしでしょうか | もっとも定番の12月の時候の挨拶 |
街並みにクリスマスの灯りが映える季節となりました | 親しい人への温かい表現 |
今年も残すところわずかとなりました | 年末らしい締めくくりの表現 |
上旬・中旬・下旬のおすすめ表現
12月は上旬から下旬にかけて季節の雰囲気が移り変わります。
それぞれのタイミングに合わせた言葉を添えると、より季節感が伝わります。
時期 | 表現例 |
---|---|
上旬 | 初冬の候、寒さが増してまいりました |
中旬 | 寒冷の候、今年も残り少なくなってまいりました |
下旬 | 歳末の候、なにかと慌ただしい頃となりました |
カジュアルとフォーマルの違い
手紙の相手によって、表現を変えることも大切です。
フォーマルな場合は「師走の候」「寒冷の候」のような漢語調を。
カジュアルな場合は「イルミネーションが美しい季節になりました」「今年もあっという間に過ぎていきますね」など口語的な表現を選ぶと自然です。
フォーマル | カジュアル |
---|---|
寒さ厳しき折、いかがお過ごしでしょうか | 星空がいっそうきれいに見える季節になりましたね |
師走を迎え、ますますご多忙のことと存じます | クリスマスの準備で街がにぎやかになってきましたね |
このように、相手との関係性に応じて使い分けると、手紙全体がより心に響くものになります。
個人向け「拝啓」12月の例文集
ここでは、実際にすぐ使える「拝啓」の例文をまとめました。
友人・親戚・恩師といった相手ごとに複数のパターンを紹介し、最後にはフルバージョンの例文も掲載します。
コピペして使えるのはもちろん、一言加えるだけで自分らしい手紙にできます。
友人への挨拶文(3パターン)
親しい友人には、少し柔らかく、気取らない表現がおすすめです。
例文 |
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拝啓 街の灯りがいっそうきらびやかに感じられる季節となりました。 今年もあとわずかとなりましたが、変わらず元気に過ごしていますか。 今年もたくさんの楽しい時間をありがとう。 来年もまた、変わらぬお付き合いをよろしくお願いします。 敬具 |
拝啓 澄み渡る夜空に星がきらめく季節となりました。 この一年を振り返ると、あなたとの会話がいつも励みになりました。 また新しい年も、一緒に笑い合える時間を楽しみにしています。 敬具 |
拝啓 寒さが厳しくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。 今年は久しぶりに再会できたことが一番の思い出です。 来年もお互いに楽しい一年になりますように。 敬具 |
親戚への挨拶文(3パターン)
親戚には、少しかしこまった言葉を選びつつも、親しみを込めると良いでしょう。
例文 |
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拝啓 日ごとに寒さが深まる季節となりました。 今年も大変お世話になり、本当にありがとうございました。 年明けには、ぜひお会いできればと思っております。 どうぞ心穏やかな年末をお過ごしください。 敬具 |
拝啓 街が年の瀬のにぎわいに包まれる頃となりました。 皆さまには変わらずお元気でお過ごしのことと存じます。 来年も変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます。 敬具 |
拝啓 霜が降りる季節となり、冬らしさが増してまいりました。 今年も多くのご配慮をいただき、心より感謝いたします。 新しい年が笑顔の多い一年になりますようお祈り申し上げます。 敬具 |
恩師や目上の方への挨拶文(3パターン)
恩師や目上の方には、丁寧で改まった表現を選びましょう。
例文 |
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拝啓 寒気厳しき折、ますますご健勝のことと拝察いたします。 本年も温かいご指導を賜り、心より御礼申し上げます。 来年も学びを深めてまいりますので、引き続きご指導をお願い申し上げます。 敬具 |
拝啓 歳末のあわただしい時期となりました。 先生におかれましてはお忙しい日々をお過ごしのことと存じます。 新しい年が実り多きものとなりますよう、心よりお祈り申し上げます。 敬具 |
拝啓 冬至を迎え、日ごとに寒さが増してまいりました。 平素よりご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 来年も変わらぬご厚情をお願い申し上げます。 敬具 |
フルバージョン例文(起承転結の手紙文)
最後に、冒頭から結びまでの流れを整えたフルバージョンの例文です。
そのまま送ることも、一部をアレンジすることも可能です。
フル例文 |
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拝啓 街並みにクリスマスの灯りが映える季節となりました。 皆さまには変わらず穏やかにお過ごしのことと拝察いたします。 今年も残りわずかとなり、一年を振り返ると多くの方々に支えられた日々でした。 年末に向けて慌ただしい日々が続きますが、どうぞ心安らぐ時間を大切になさってください。 敬具 |
結びの言葉で温かみを添える
手紙の最後に添える「結びの言葉」は、文章全体の印象を決める大切な要素です。
特に12月は年の瀬ならではの雰囲気があるため、場面に応じた言葉を選ぶことで気持ちがより伝わります。
健康や幸せを願う表現集
形式を保ちつつも、相手を思いやる表現を取り入れると丁寧な印象になります。
例文 |
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どうぞ心穏やかな年末をお過ごしください |
寒さが続きますので、ご自愛ください |
年明けにまたお会いできるのを楽しみにしております |
年末らしい温かみのある表現集
一年の締めくくりにふさわしいフレーズを使うと、手紙全体がやさしくまとまります。
例文 |
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良いお年をお迎えください |
今年一年のご厚情に心より感謝申し上げます |
新しい年が穏やかで実りあるものになりますように |
来年につながる前向きな表現集
新しい年を意識した前向きな言葉を添えると、読後感が明るくなります。
例文 |
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来年も変わらぬお付き合いをよろしくお願いいたします |
新しい年にまた笑顔でお会いしましょう |
次の一年が素晴らしい出会いに恵まれますように |
結びの言葉は、相手への思いやりを最後にもう一度伝えるチャンスです。
定型的なフレーズでも、相手に合わせて選ぶだけで、印象はぐっと変わります。
まとめ|形式を守りながら自分らしい手紙に
12月に「拝啓」を用いた手紙を書くときは、基本の形式を押さえつつ、相手との関係性に合わせた表現を選ぶことが大切です。
具体的には、冒頭で時候の挨拶を入れ、相手の様子を気づかう一文を添え、最後に結びの言葉で締めるという流れです。
形式を守りながらも、自分の言葉を少し加えるだけで、心のこもった文章になります。
ポイント | 内容 |
---|---|
形式を守る | 「拝啓」と「敬具」のペアを忘れない |
季節感を出す | 12月らしい時候の挨拶を入れる |
関係性に合わせる | 友人にはやわらかく、恩師には丁寧に |
自分らしさを添える | 一言アレンジで印象がより温かくなる |
今回ご紹介した例文はそのまま使うこともできますが、ほんの一文アレンジするだけであなたらしい手紙に変わります。
ぜひこの記事を参考に、今年一年の感謝を込めたお便りを大切な方に届けてみてください。